隅田川から江戸川橋まで
●スタートは柳橋
神田川最下流の橋が、柳橋です。神田川沿いを遡行しようとするならば、やはりここを出発点に選ぶべきでしょう。柳橋まで、どうやって行くかといえば、ルートはふたつあります。東京都心のど真ん中どこからでも行けるのですが、駅ベースでいえば両国駅か浅草橋駅。両国駅の場合は、改札を抜けたら線路の南側(左)で表の通りに出ます。マクドナルドのある横断歩道を渡って、そのまま真っ直ぐ歩くと隅田川の堤防に出ます。そこを左。そうすると、両国橋で隅田川を渡ります。両国橋の上から、柳橋と神田川河口を望むことができます。神田川河口対岸の隅田川の堤防内の遊歩道に降りて、隅田川越しに神田川を眺めるのも悪くないでしょう。
隅田川を渡るのはいいや、という人は浅草橋駅の東口で降ります。駅のすぐ南側が浅草橋。浅草橋の橋詰めから両岸に隅田川方向に伸びる川沿いの道があります。その先が柳橋です。柳橋の向こうは隅田川。川の両岸は隅田川を巡る屋形船の基地になっています。いくつもの船宿が軒を連ね、下町風情いっぱいの所。柳橋は、元禄11(1698)年に初架橋と言われています。現在の橋は関東大震災後架けられた鋼鉄橋。付近一帯は江戸時代から花街として賑わった所で、それをイメージした欄干に埋め込まれた花かんざしは、平成4年のリニューアル工事の際に埋められたものです。
●川沿いに道はないけれど
浅草橋駅から歩く人は、また神田川沿いの道を浅草橋まで戻ります。ほんの短い距離ですが、浅草橋と柳橋との間は、下流部で唯一川沿いに歩ける所です。浅草橋から上流に向かいましょう。川沿いの道はありませんが、両岸に川と並行して走る道があります。右岸は交通量がちょっと多い柳原通り。左岸側の方が歩きやすいかも知れません。ただ、柳原通りは下町風情も残る道。あえてこっちを歩く時もあります。浅草橋の次の橋、左右衛門橋から千代田区に入ります。区の条例の関係でしょうか、千代田区に入った途端に神田川両岸に留められている船がきれいさっぱりいなくなります。その対比を左右衛門橋上から眺めるのもおもしろいかも知れません。
浅草橋から万世橋までの間、かつては柳原堤という堤防が築かれ、柳の並木が続いた所です。その名残というと変でしょうが、柳の並木が作られている所もあります。ただ、残念ながら柳原堤の面影はない、というのが正直な所でしょうか。写真で掲載しているのは、美倉橋の橋詰めにあるトイレ。白壁の妙に立派な造りです。美倉橋の橋名の由来にもなった三つの倉をイメージしたということです。ビルの壁面のすぐ下を流れる川は、実に静かです。残念ですが、限られた場所でないと川に近づけません。典型的な都市河川の表情かも知れません。
●秋葉原に近づく
美倉橋の次が和泉橋。昭和通りという大通りが走り、その上には首都高上野線。賑やかな所です。和泉橋の上流側左岸橋詰めには、防災船着き場が作られていて、その上が小公園になっています。今や日本各地に広がった路上喫煙禁止に先鞭を付けたのが千代田区ですが、公園は貴重な喫煙スペース。ところが、この公園には灰皿がきちんと設置されていません。だから、決して清潔に保たれているとはいえないのが残念です。川にタバコ投げ捨てる人も結構多いのが悲しいのです。(次ページへ)